コニカミノルタ 米計測機器会社を買収 欠陥検査を自動化
- 2015-06-24
コニカミノルタは米計測機器会社を買収する。スマートフォン(スマホ)などのディスプレーの不良品検査が主力で、人の目でないと難しかった色むらや画素の欠陥を検知し、検査工程を自動化できる技術を持っている。コニカミノルタはオフィス向け複合機への依存が高く、スマホ大手など有力な顧客を持つ米社の買収で計測機器事業を新たな柱に育てる。買収額は300億円前後とみられる。
コニカミノルタの売上高約1兆円の6割を占めるオフィス向け複合機の事業は景気の影響を受けやすい。液晶パネル向け部材も手掛けるが受注の増減が激しいため、安定した高収益が見込める計測機器事業を強化し多角化を進める。
買収するのはラディアント・ヴィジョン・システムズで、2014年から高精度なディスプレーの不良品の自動検知システムを販売する。
ディスプレーの微妙な色むらや一点が光らないといった小さな欠陥は種類が多様な上、外部のちょっとした光の影響も受けやすいため機械で精度良く見つけるのは難しい。そのため今も多くのメーカーが熟練の検査員の目視に頼っている。
ラディアントは読み込んだ検査画像のデータを高精細に再現し解析する高い技術を持ち、熟練した検査員と同様の検査ができるという。年間の売り上げは約50億円だが、高い利益率を確保していると見られている。
買収後はこの技術の用途を自動車や食品向けにも拡大する方針だ。自動車部品では色や質感をそろえる検査に用い、食品では生の食肉の色味の確認や調理後の状態の確認などを想定している。
コニカミノルタの14年度の計測機器事業の売上高は223億円。12年の発光ダイオード(LED)計測が強い独計測機器メーカーに続く買収で、18年度に500億円への倍増を目指す。
デジタルカメラや複合機の国内市場は頭打ちで、新しい成長に向け各社がM&A(合併・買収)を進めている。キヤノンは監視カメラ世界最大手アクシス(スウェーデン)を約3300億円で買収し子会社化した。リコーも米国やアジアなどでシステムやソフトウエアの会社を複数買収している。