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旭化成、電池素材の米社を2600億円で買収 シェア拡大

2015-02-24

 旭化成はリチウムイオン電池の主要素材であるセパレーター(絶縁材)を製造する米ポリポア(ノースカロライナ州)を22億ドル(約2600億円)で買収すると23日に発表。セパレーター世界首位の旭化成は現状で35%のシェアを約50%に引き上げ、2位の東レを引き離す。供給先も従来のスマートフォン(スマホ)向けなどに加え、今後の市場拡大を見込む電気自動車(EV)に広げて事業基盤を固める。

 2014年4月に就任した浅野敏雄社長は「15年度までにM&A(合併・買収)に約2500億円を投じる」と宣言していた。今回の買収額はこの枠を上回り、旭化成では過去最大のM&Aとなる。セパレーターで世界3位のポリポアを取り込み、世界的に強みを持つ素材の競争力をさらに高める。

 ポリポアのセパレーター事業の売上高は約4億4000万ドル(約530億円)。セパレーターのほかに手掛けている医療・工業用膜事業を米スリーエム(3M)に売却した後、旭化成がポリポアの全株式を取得する。各国の規制当局の認可取得後に買収を完了する。

 旭化成のセパレーターはスマホやパソコンなどデジタル機器向けが中心だった。一方、ポリポアは「今後の市場拡大が期待される自動車向けの技術で強みを持つ」(浅野社長)。ポリポアと新製品を共同開発し、これまで手薄だった自動車向け市場を開拓する。

 自動車用リチウムイオン電池はここ数年、EVの普及が自動車各社の想定よりも進まず需要が伸び悩んでいた。米テスラ・モーターズが新車を相次いで発売するほか、欧州や中国では燃費規制が厳しくなることもあり、今後は世界的にEVの普及が期待されている。旭化成によると、世界の自動車向けセパレーターの需要は20年に現在の4~5倍まで拡大する見通しという。

 リチウムイオン電池の市場拡大を見据え、セパレーターを手掛ける日系の素材メーカーは積極投資に乗り出している。住友化学はセパレーターの生産能力を20年に15年の3倍に高め、テスラのEVに搭載するパナソニックのリチウムイオン電池に供給する。帝人も14年12月、韓国にある工場のセパレーターの生産能力を2倍に高めた。

 旭化成は主力としてきた石油化学品や繊維に加え、「今後は環境エネルギー分野の事業を伸ばしていく」(浅野社長)考え。価格競争に巻き込まれやすい大量生産が主体の事業構造から脱し、セパレーターなど高付加価値品に注力する。旭化成だけでなく、素材各社は豊富な手元資金を有しており、事業構造の転換に向けたM&Aの動きが相次ぎそうだ。

 

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