日本郵政 豪トール社買収を発表 物流世界5位に
- 2015-02-18
日本郵政グループ はオーストラリアの物流大手トール・ホールディングスを買収すると18日に発表。トール社も同日、買収提案を受け入れると発表した。買収金額は64億8600万豪ドル(約6000億円)。日本郵政傘下の日本郵便がトール社の発行済み株式を全株取得し子会社とする。今回の買収で郵政グループは世界5位の物流企業になるという。
持ち株会社 である日本郵政の西室泰三社長は東京都内の本社で記者会見を開き、トール社は「国際物流で最高の相手」と語った。買収額は1株あたり9.04豪ドル(約830円)で、17日のトール株終値を49%上回る。トール社の取締役会 は買収提案の受け入れを株主に推奨することを全会一致で決めた。5月の株主総会での承認をめざす。
トール社は6月上旬にも郵政グループ入りする。現経営陣の体制や社名は維持する。トール社は1888年に創業。豪南部メルボルンに本社を置き、アジアや欧州、北米などに1200以上の拠点網を展開している。従業員は4万人で年間売上高は約8000億円(2014年6月期)。
トール社のレイ・ホーズバーグ会長は「日本郵政グループと、アジア太平洋で最大の物流企業であるトールの組み合わせは非常に強力で、世界でトップ5に入る物流企業となる」と述べた。今後は米物流大手のUPSやフェデックスなど国際物流大手との競争に入る。
日本郵政は傘下の金融2社(ゆうちょ銀行、かんぽ生命保険)と15年秋にも同時上場する方針。トール社の買収でアジア太平洋地域に物流網を展開するグローバル企業となり、上場に備えて企業価値を高める戦略だ。シドニーで会見した日本郵便の高橋亨社長は、今後もアジアや欧州、北米で積極的な買収に打って出る意向を示した。
ホーズバーグ会長は今年1月に発効した日豪経済連携協定(EPA )により、日豪間の物流が促進され「取扱量が増える」との見通しを示した。日豪政府間のEPA締結が今回の買収案件が前進する「機運をもたらした」とも述べた。