富士フイルム、米医療IT会社を買収 画像を一元管理
- 2015-05-12
富士フイルムは米国の医療IT(情報技術)ベンチャーを買収し、医療用画像を一元的に管理する情報システムの開発・販売に参入した。画像診断装置や内視鏡の普及で医療用画像の利用は広がっているが、システムが異なるとデータのやりとりが難しかった。複数の病院間でも共有できる特長を生かし事業の拡大をめざす。
買収したのは医療ITベンチャーのテラメディカ(米ウィスコンシン州)。買収金額は40億~50億円規模とみられている。12日までに創業者や機関投資家から全株式を買取した。
テラメディカが手がけるデータ保管システムは個別のシステムから受け取った画像を一定の形式に変換して保管する。システムが異なる病院や診療科の間でもデータの共有が円滑にできるのが特長。
米国では病院経営の効率化のために系列化や地域内の連携が進んでおり、このためデータを一元的に管理・保管するシステムの導入が広がっている。現在は約200億円の世界の市場規模が5年で500億円程度に膨らむという予測もされている。
富士フイルムは類似症例を画像で検索するシステムを製品化するなど高い画像解析技術を持ち、こうした技術を新システムと組合わせ、医療画像のビッグデータ解析への活用も検討する。
医療現場で扱うデジタル画像は拡大している。コンピューター断層撮影装置(CT)などの画像診断装置や内視鏡、病理検査の画像などの利用が広がっているためだ。ただ多くの病院が別々のシステムでこうしたデータを保管しており、大量にある画像の有効活用が遅れていた。